安井正佐也先生の論文が「Journal of Neuroinflammation 」に掲載されました

ロコモペイングループ共同代表の安井正佐也先生の研究が Journal of Neuroinflammation (IF:5.193)に掲載されました!

 

オープンアクセスジャーナルですので,どなたでもご覧いただけます.

↓↓↓論文↓↓↓

https://jneuroinflammation.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12974-019-1456-x#Abs1

 

論文タイトルは「Hyperactivation of proprioceptors induces microglia-mediated long-lasting pain in a rat model of chronic fatigue syndrome(慢性疲労症候群のラットモデルにおいて固有感覚の活動亢進はミクログリアを介して長期持続性疼痛を誘発する)」です.

 

この研究は,2014年にGLIAに掲載された論文の続報です.

 2014年のGLIAへの報告は,「慢性疲労症候群で見られる異常な痛みの原因の一部は脊髄内の免疫細胞、ミクログリアの活性化である可能性を発見した」という内容でした.

実はこの発表時,Google ニュースの科学部門で1位になるほど注目され,テレビの報道番組で取り上げられました.

 

しかし,この研究では「なぜ持続的なストレスを負荷すると脊髄の免疫細胞であるミクログリアが活性化するのか?」という疑問が残りました.

その疑問を5年間追求し研究した結果を論文として発表されました.

 


◆以下、論文の内容を安井先生ににわかりやすく解説して頂きました◆

 

感覚神経は,大きく3種類に分類されます.

温痛覚,触圧覚,固有感覚です.

 

これまでの疼痛学研究において,侵害受容性疼痛,神経因性疼痛など様々な疼痛メカニズムが解明されてきました.

その多くは,温痛覚の異常,もしくは触圧覚の異常が主体です.

 

痛みを伝える感覚神経である温痛覚ニューロンが感作されて,痛みは増強します.

アロディニアなどは触圧覚ニューロンの異常を認めます.

疼痛学領域において,これまでの研究対象のほとんどが,末梢神経においては温痛覚ニューロンもしくは触圧覚ニューロンが主役でした..

 

しかし,ストレスによって生じる体の痛みは,温痛覚や触圧覚の異常ではなく,なんと固有感覚の異常が主体で生じる可能性が示唆されたのです.

これは,世界で初めての見解です.

 

固有感覚は,障害されても気づきにくい感覚です.

固有感覚は,痛みやシビレなどとは異なった感覚であり,簡単に言えば「関節の位置覚」として認識される感覚です.

これが障害されるということは,バランス感覚に異常が生じると考えられます.

 

今回の研究結果によれば,「ストレスによって異常筋緊張が持続的に生じることで,固有感覚の障害が生じることを発見した」という内容です.

持続する強い筋緊張は,固有感覚の障害を生じ,さらに神経系の異常が誘発されて,慢性疲労症候群を発症していると考えられます.

 

 

ストレス→筋緊張の亢進→固有感覚の障害→反射経路に沿ってミクログリアが活性化→疼痛・疲労という経路で慢性疲労症候群が発症する可能性が示唆されました.

 

 

この論文はオープンアクセスジャーナルですので,どなたでもご覧いただけます.是非,一度御覧ください.

 

↓↓↓論文↓↓↓

 

https://jneuroinflammation.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12974-019-1456-x#Abs1